ぬばたまのはと
Essay
ましろいはとが吉兆ならば、ぬばたまのはとはどうだろう。
原宿は裏竹下、眩暈するようなにぎやかの通りからすこしばかりのがれのがれた小径にて、闊歩するまっくろの鳥がニ匹。艶々しい濡羽の毛なみ。洒落た鴉がフォトジェニックのなごりをさがしているのかとおもいきや、どうにもシルエットがまあるい。
鳩だ。
ぶるんぶるん羽をふるわす。ましろい羽根のちらちらとのぞく。都会の鳩が鈍色なのは排気ガスに染められたせいだというが、こんな小径にばかり羽ひろげ、よりいっそう煮染められてこのようないろになったものだろうか。
ちかくの露店に売られる焼き菓子は虹よりも極彩色あふれて、なつやすみをあいするこどもたちをはしゃがせている。にぎやかの足元でぬばたまの鳩が、ぽう、となく。こぼれた屑をくちばしがつく。
ぽう。