十四の花売り

花をおひとついかがですか
朝もやにしめる冬の
袖を濡らすあまい薫り
いとけなくすがるゆびさき

花がひとつ売れたなら
西の市場へといこう
初摘みのくだものをきみに
そうしたらきっとよくなって
またほほえんでくれるだろう

十四の花売り舞いおどる
狭く薄ぐらい路地裏
煤と煙草の香をまとい
しろい胸の十字に祈るのは
めざめぬとものやさしい笑顔